分断を受け止める

2020年10月28日


たとえ固い話や政治はわきに置いたとしても、

周りにいるフツーの人だったら

「就任早々それやっちゃうと、

本当にしたい仕事ができなくなりますよ、首相!」と

制止したんじゃないかと思います。


Scholars decry Japan PM's academic panel rejections

https://apnews.com/article/science-yoshihide-suga-tokyo-japan-laws-1cd8edc02dd830679d4ea6419c314f5d


なのに

炎上必須の禁じ手をやっちゃた。


「学問の自由」の危機というスキャンダルを

「コロナウィルス でみんな大変だよー」という

今もっていくるところに

一般社会との大きな意識の乖離を感じます。


課題山積みの日本社会ですから

もっと前向きな仕事をバリバリお願いしたい!

そう思って歯痒く思っていらっしゃる皆さんが多い様です。


サイエンス、学問、ファクト軽視の米国のリーダーシップは

他国の水面下にひっそり隠れていた

権力の濫用に

息を吹き込むcatalystになって

多くの国を蝕んできているように思います。


covid-19に国境がないように

Black Lives Matter に象徴される人権運動も

大きな広がりを見せ

人々の意識の覚醒と行動が起こりました。


同時に科学、研究、学問軽視で取られる舵の

方向の危うさを

私たちは戦争の歴史で十分に学んでいます。


改革も後退も世界中でつながって起こっています。

変化の速度とリアクション


アメリカで起こることは

10年後に日本で起こる、と

かつては言われていましたが

今は5年後に起こる、といわれるように

速度がアップしていることを考えると

私たち一人一人の意識の持ち様が

流れを決定する、と思わざるをえません。


ほとんど思いつきで

10/11 日にまな部の先生対象、

そして10/25日に保護者対象で

「母/英語指導者がみるアメリカ社会とオンライン学習の現況」を

開催させていただきました。

こうしてまな部の先生方や保護者の皆様と繋がって

米国生活のあれやこれやを聞いていただけることが

どれだけ私の支えになっているか、

肌身に染みており、感謝でいっぱいです。


先生方も保護者の皆さんも

こちらのニュースにとても敏感でいらっしゃいましたが、

・ここだけの話

・学校の授業内容

・ナショナルニュースでは決して見れないデータなどに

「びっくりしました!」

「目から鱗です!」

「考えさせられました」

というありがたいご感想をいくつも頂戴いたしました。


まとまりのない内容もありがたく受け止めて頂けるので

もう少しブログにしたいのではありますが、

最新ニュースが日々エグすぎて

心と体に刺さりまくり、

ほぼ金縛り状態です。


書こうとすると

毒を発ししてしまいそうなので

とにかく寝かせて、落ち着かせて

reactしないように心がけています。


あれこれ話しあえるのは長女です。

彼女は今期

「US Government」を高校の授業で選択しているので

「今の政治状況がよくわかるし、

興味をもって、自分ごととしてニュースを追える」と

呟いていました。


高校三年生の受験生でストレスも多い様ですが、

そういう一言を聞くと

日々ちゃんと親業をできているか、

迷いで一杯の私でも、

まずは足元を見つめよう、と

一度深呼吸をさせてもらえます。


座談会でも申し上げましたが、

米国の分断はスーパー至近距離、

個人の生活の範囲内で起きているので

政治、宗教にとどまらず、

環境問題、経済、医療、コロナウィルスなど の問題も

容易に口にすることができません。


地雷がそこかしこに潜んでいますので

相手の思想陣地がわからないと自分が怪我をしますし、

自分が相手を不用意に攻撃することにも

なりかねません。


これまでは家庭内で民主党と共和党、という様に

党派が割れていても

夫婦として、家族として、親戚としてなんとか生活できたものが、

この4、5年間で

ますます困難になってきています。


それは何を隠そう、

POTUS(President of the United States )が

相手を攻撃する戦法を一向に緩めないからです。


彼によって

引き起こされたマクロの攻撃と分断が

ミクロの家庭内で起きているということです。


心の健康


アメリカにおいて

ストレス、鬱は緊急の課題です。

心の健康を取り上げるニュースは

10年以上も前から増大の一歩を辿っていると感じていました。


今はさらにこれをチャンスと捉えて

様々なビジネスが生まれています。

そのあたりの速さはさすがアメリカで、

面白いなぁとワクワクするところでもあります。

会社によっては社員が眠ることにお金を払うところもあったりと

いまだに長時間労働をどうにかできない日本とは

隔世の感があります。

https://www.shleep.com/press/the-company-that-pays-its-staff-to-sleep


自国で精一杯


さて、来週に迫った大統領選ですが、

それで落ち着くとは微塵も思えないところが

ひやひやドキッちょです。

(もぐたん)

現職が再選されたら

環境破壊や人権無視、経済格差、汚職が加速するでしょう。


バイデンさんが当選すれば

1月の大統領就任までの間に

エイミーバレット最高裁判事の就任で

保守への傾きが決定的となった最高裁が

これまで「当たり前」、

つまり合憲とされて

人々の生活に根付いていたものが

ひっくり返させられる危険を孕んでいます。


さらに大々的な攻撃をリベラルな市民だけでなく

一般公務員にも向けている事例もすでに出ており、

選挙結果も認めない、

そんな恐怖政治の序章ともなりそうで、

注視が必要です。

まさに「内戦」です。


これだけ混乱していると

自国以外のニュースの取り上げ高も減ります。

日本のニュースを目にすることは

ますます減っており、

日本の国際的な影響力の減少が

よく分かります。

それでも目にするのは

「日本は保守的で変化の遅い国」という

切り取られ方で、

実際その通りですから、ヤキモキします。


混乱をどう受け止めるか


ニュースのシェアが遅くて

よもやニュースでもない状態になってますが、

なんとかこのブログを気持ちよく終着させたいので

流れをこちらに引っ張ります。


TIME誌はここ20年近くに渡って毎年

「The 100 Most Influential People」といって

世界に影響力を与えている、

その年の100名を選出しています。

1ヶ月も前の話になりますが、

今年は医療関係者が多く選出されており、

さらに、初めて女性が54名選ばれ、

これまでで最多となりました。


このissue は、

選出された人と関わりのある人が

賛辞のメッセージを送る、という体裁になっています。

寄稿者だからこそ紹介できる彼らの交流や

思い出エピソードなどが織り込まれていて面白いです。


さて、今回選ばれた日本人は2名。

そして二人とも女性でした。

選ばれた女性54名中の2名です。

一人目はテニスの大阪なおみ選手。

2年連続で選ばれています!

タフであることを求められる

アメリカのスポーツ界ですが、

ほんわかシャイなキャラでありながらも

芯の通った彼女のスポーツマンシップは

次のテニス界のリーダーとなる、と

大変大きな注目を集めています。

2019年の記事

https://time.com/collection/100-most-influential-people-2019/5567714/naomi-osaka/

2020年の記事

https://time.com/collection/100-most-influential-people-2020/5888802/naomi-osaka-icon/


もう一人は

ジャーナリストの伊藤詩織さん。

国内外で活躍する映像作家でもあります。

彼女が選ばれた理由は

沈黙を余儀なくされてきた日本社会で

性的暴力の問題を勇気をもって告発し、

硬直して目を背け続けてきた社会と

今も戦い続けているからです。

https://time.com/collection/100-most-influential-people-2020/5888199/shiori-ito/


この寄稿を寄せたのは東京大学名誉教授の

上野千鶴子教授ですが、

Japanese society is finally refusing to tolerate sexual violence.

という最後の文章に

変化の兆しと、同時に

変化の遅さに対する批判が

突きつけられていると感じました。


分断と理解


そしてもう一人、日本人ではありませんが、

日本人の両親のもとにアメリカで生まれ育った

Lisa Nishimuraさんも選出されています。

https://time.com/collection/100-most-influential-people-2020/5888437/lisa-nishimura/

彼女の活躍がNetflix成功の一端を担っていると言われています。


製作者としてアカデミー賞もエミー賞も受賞してきました。

彼女のすごいところは

ドキュメンタリーもコメディーも制作を手掛け、

それらは社会の理解と調和、

思いやりを引き出させる、

人々の心を揺り動かすものだということです。


彼女の作品をまだ一つも見たことがないので

歯切れが悪いですが、

そういった作品の根底にある

彼女の思考回路と人間性が

こちらの受賞式でのスピーチに大変よく現れています。

https://vimeo.com/307728417


彼女の活躍について

わかりやすい日本語のブログも見つけました。

https://note.com/hideaki/n/n557d8f2a9e88


この分断をどう受け止め、融和していくか

そんな希望を彼女の作品に見出せるかもしれないと

コメディー、ドキュメンタリーの両方に注目しています。


また、「コメディー」というエンタメが今の時代

とても重要であることも

私自身が感じていることでもありますので、

作品を見たら感想をシェアしたいと思います。


今回もお付き合いいただきましてありがとうございました。

スナダマリコ 拝


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