祈りと行動

2020年08月30日

2019年1月。

最後の生徒が教室を去りました。


人気のなくなった自宅兼教室の一階に

ひととき静寂が訪れました。


いくつもの

Good byes and thank yousを噛み締め、

アメリカへの引越しを3月に控えた私は

お別れを受け止めました。


そして、

教室レッスンのチャプターを閉じよう、と

潤む目で部屋を見回した時、


様々な感情を

上書きしながら強烈に湧き上がった感情は

「悲しみ」

「寂しさ」

でもなく


「安堵」


でした。


えーっ?! いやー?!


英語の指導者として

たった6年弱ではあるけれど

その気持ち、どうやねん!


生徒やご家族とのお別れ、

ほんまやったらもっと悲しむやろー!

と我を疑いましたが、

(関西とは縁もゆかりもありません)


腹の底から湧き上がった気持ちは

紛れもなく

「肩の荷が下りる」というものでした。


悲劇のヒロインばりに

悲しみに浸ると思っていましたので

予定調和を破る感情に

意表をつかれたのをよく覚えています。


オンラインは実は...



私がつながるまなび educators' studio

通称「まな部」を立ち上げよう、と思ったのは

この大変化の時代に

指導者同士が支え合うネットワークが必要と

思ったからでもありますが、


実は何を隠そう

「オンラインは楽」なんですよ。

だから、

私にできることが少しはあるのかな、と

思ったこともきっかけの一つです。


なぜか。


オンラインレッスンは

「人様の命を預からない」からであります。


まな部には

先生や講師歴20年以上!というような

大ベテランの先生もいらっしゃれば

これから自分で教室を始めます、

という方もいらっしゃいます。


今コロナウィルスの影響で

三密回避のため

様々なご苦労をされていらっしゃる。


これがニューノーマルになって

もう慣れてきた、とお思いかもしれない。


でも私は教室を閉じた時のあの「安堵感」を

強烈に覚えています。

この「命を預かる責任」の重さは

お教室を閉じた時

初めて気がつくのかもしれません。


安全を担保するために

体力、精神的に負荷がかかっている思いますよ。

ぜひともみなさまお体を大切にしてください!


さて、気をつけるのはコロナウィルス だけではありません。

9月1日を控えて

今日は防災に関する呟きをお届けします。


祈り


うちの教室では

学校から直接教室に来る子もいました。

その日いいことがあって気持ちが上ずっている子も、

心にトゲトゲが刺さったまま

やってくる子もいるかもしれない。


仲間同士お互いに優しい気持ちで過ごし、

メリハリをつけてレッスンに臨んでほしいなと願い、

ささやかな儀式をして授業を開始していました。


まず、畳の部屋に正座や足を組んで座り、

姿勢を正し目を閉じます。


All right, everyone.

Thank you for being here today.

Before we start the lesson,

let's sit in the Japanese style,

keep your spine straight, and close your eyes.

Now let's take a deep breath in and

(ここでチューナーを鳴らします)

slowly breathe out ...


チューナーの透き通るような音が空間を満たす間、

私は

「もし非常事態が起こっても、

生徒たちを安全に導けるようにお守りください。

そして一人一人の生徒を大切に受け止めて

常に優しさを持って

指導できるように助けてください」

というような内容で、

毎レッスンごとにお祈りしていました。


我が家はオケージョン毎に

神社にもお寺にも教会にもお世話になっちゃう

一般的な日本家庭ですので

「神様」に祈る、というより

人智を超えるsomething great に

話しかけるような気持ちです。


ぶっちゃけ祈りや儀式というより、

ご飯に「いただきます」と手を合わせるような

もっとずっとカジュアルな感じです。


生徒たちは

チューナーが奏でる波動に身を委ね、

気持ちを切り替え、集中します。

そのあとbreathing exercise を行い、

体を動かして筋肉を緩め、

発声練習をしてレッスン開始です。


一旦このリチュアルをすると

私はレッスンに集中しますし、

よもや何かが起こるなんて

授業中に心配したことなどありませんでした。


知らないは言い訳にならない



私は東日本大震災を経験していません。

その頃は1回目のヒューストン駐在中でした。

破壊的な津波のパワーに町が飲み込まれる映像を

遠くアメリカから眺め、

福島の原子力発電所の爆発と

その後を祈るような気持ちで眺めていました。

地震も余震の恐怖も

電力不足も経験していません。


その後日本に帰国し、

英語教室を立ち上げることになるわけですが、

生徒さんが増えるにつれて、

少しずつ安全管理や緊急時の対応を

バージョンアップしていきました。


震災を

「知らないのが怖い」という気持ちと

「知らないのを言い訳にしない」という気持ち、

この両方があったと思います。


先週は大型ハリケーンローラがメキシコ湾から上陸し、

我が家はギリギリ被害を免れたものの、

お隣のルイジアナ州は甚大な被害を被っています。


ハリケーンや台風は準備ができます。

でも地震や津波はいつ来るかわからない。


神奈川県逗子市の我が家は海抜4mに位置しています。

新規入会者には

必ず緊急事態の避難方法といったプロトコルを

ご家族で確認して頂いていました。


こちらは教室時代のホームページで

データが消えたり読みにくいページもありますが

ご参考になれば幸いです。

「緊急避難時の対応」


ご家庭へメッセージもお送りしています。

「津波てんてんこ 緊急時の対応」


上のサイトの繰り返しになりますが、

あの大災害を直接目にしていない私が

真剣に対応を考えることが

命を落とした方々や

今も震災の影響でご苦労されている方へ

敬意を表す一番の方法なのではないかと

思っていました。

どんな小さなことでも、

今できることをやる。


見えない不安に向き合うには

その小さなアクションが

自分を支えてくれるような気がします。


8月23日のアプリコット出版社さん主催の講座に

登壇させて頂いたお陰で

まな部にご参加くださった先生がたくさん増えました。

いらっしゃいませ!

どうぞよろしくお願いいたします。


今回も最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

スナダマリコ 拝


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